以前、ホテルロビーでとてもセンスの良いゲストをお見かけした。コートとジャケットの中間丈のナイスなジャケットを羽織り、中は白いトップスで、本を読みながらお連れ様と待ち合わせの様子だったので、さっそく声をかけてみた。”ジャケットお客様にとてもお似合いですね。”そうするとゲストは ”○○ブランドの何店で購入した新作なんですよ、あなたも行ってみたら? ”と教えてくれた。その方は、仕草も会話も素敵で、ついついおしゃべりも弾みます。ホテルのロビーはその方のお陰で洗練された雰囲気になりました。今、コロナ禍で社交という言葉が薄れてきましたが、ホテルはマナーをとても大切にしています。ここでは、知っていると得をする”上品に見せてくれるマナー”を紹介します。
今日、日本列島は最高気温と総理の辞任の話題で沸騰状態。コロナで先行きが不安な中、後継者へとバトンが渡される。火のついたバトンを受け取る側も渡す方も複雑な心境であろう。「総理が後任が決まるまで継続する」の意味は、概ねバトンの方向性は決まっているのではないか、と思ってしまう。
来年2021に、よりやるべき課題が残される。以前の様に人々が安心して旅行ができるようになるまで、いかに雇用が維持されるのか、ホテル業界からも政治への関心が大きく向けられている。
1. レディーファースト
” Ladys First ” レディーファーストという言葉は日本でも大分浸透してきているが、由来を調べてみると、時代と共に刻々と変化をしてきているようだ。
このように、レディファーストは、淑女のためのマナーが、現代では、紳士が取るべき行動となり、その後日本では西洋を真似し、もてる男性の所作などとしても取り上げられるようになってきている。
欧米では、エレベーターやレストランの入り口で女性が中に入ろうとすると、連れの男性だけでなく、見知らぬ男性からも ” お先にどうぞ ” などとドアを押さえてもらうことが日常的だ。レディーファーストは日本ではまだ馴染みのないマナーといえる。
次の二つの例で、どちらがスマートに見えるのか、そのシーンをイメージしてみましょう。
例1 : 客室階のエレベーターホールで、男性一人とスーツケースを持った女性一人がエレベーター待ちをしています。エレベーターがその階に止まると、
男性が先に乗り込み、エレベーターの奥の方で携帯を見はじめます。その後スーツケースを持った女性もエレベータはーに乗りこみます。その後、ロビー階につくと、スーツケースをもった女性がエレベーターから先に降り、男性もロビーで降りました。
例2:客室階のエレベーターホールで、男性一人とスーツケースを持った女性一人がエレベーター待ちをしています。エレベーターがその階に止まると、
男性がエレベーターのボタンを押しながら、”よかったら先にどうぞ”と女性に声をかけます。女性は”ありがとうございます”と礼を言い、エレベーターに乗り込み、男性も続いてエレベーターのドア近くに乗り込みます。その後、ロビー階につき、男性がエレベーターのボタンを押さえながら”お先にどうぞ “と言い、女性も”ありがとうございました”と礼を言い女性がエレベーターから先におり、男性もロビーで降りました。
この例1と2はどちらがスマートに見えますか?
例2ですよね。例2はスーツケースを持っている女性を最優先にしているレディーファーストの良い例と言えます。
もちろん、同時にホテルスタッフが同乗する場合は、エレベーターのボタンを押してくれるのは、ホテルスタッフですが、その後、男性と女性の間では、やはり同じようにレディーファーストのマナーを知っているか否かで、とる行動に差が出てきます。
管理人が、海外でレディーファーストを受けてみて思ったことは、お互いが恥ずかしがらずにレディーファーストを実行しているということです。日本人は海外ではマナーが良い国民と言われていますが、レディーファーストというマナーに関しては、東洋との西洋の文化の違いからか、まだまだ日本では男性が優先的にされることが多いと思います。
特にホテルなどのインターナショナルな場所では、レディーファーストを受ける側もする側も自然にすがすがしく行うことが上品に見えるコツです。それには、ホテルを利用する際、普段はレディファーストを意識していないご夫婦やカップルも恥ずかしがらずにレディーファ―ストのマナーを意識的に実践してみましょう。
欧米などレディーファーストの環境で育った方の動作を見ていると本当に自然で、見ていて素敵だなあと感じます。ホテルスタッフが業務でまねをしても、そのスマートさは、彼らのような本物の紳士にはかないません。しかし日頃から意識して行うことで、段々と自然にできるようになり、ご家族や他の方にも喜ばれるスマートに見えるマナーの一つでしょう。
2. おしぼりの使い方
日本の旅館やホテルでは、到着の際、「おしぼり」という、うれしいサービスがある。今コロナ禍で、手先の消毒強化のため、「おしぼり」から殺菌効果のあるアルコールのウエットシートなどに変更している施設も増えている。
夏はひんやりした「おしぼり」冬は熱い「おしぼり」を出してもらえると、外から到着した時、リラックス効果が倍増する。ロビーやレストランなどで、ゲストが「おしぼり」を使用する際にも、ちょっとした豆知識を知ると、マナーにも差が出てくるので、次の例を見てみよう。
例1: 熟年のカップルがチェックインの手続きのため、ロビー受付前のソファで「おしぼり」とウエルカムドリンクでおもてなしを受けています。
旦那さんが “気持ち良いね”と言いながら、おしぼりを大きく広げて、おでこや首回りを拭いている。奥様はおしぼりを大きく広げて、テーブルの上についたウエルカムドリンクの水滴を拭きながらきれいにしている。お部屋にご案内の際、拭き終わったおしぼりを、クシャっと丸めてテーブルの上に置いていた。
例2: 熟年のカップルがチェックインの手続きのため、ロビー受付前のソファで「おしぼり」とウエルカムドリンクでおもてなしを受けています。
旦那さんが”気持ち良いね”と言いながら、半分に折ったおしぼりで、手をきれいに拭いている。その横の奥様もおしぼりを半分に折ったおしぼりで、手をきれいに拭いている。お部屋にご案内の際、拭き終わったおしぼりをトレイの上に、汚い面を下に半分に折り置いていた。
さて、この例1と2はどちらがスマートなマナーでしょうか?
そうですね。例2ですね。「おしぼり」は、なるべく半分開いたものを表と裏で使用することにより、所作がきれいに見えます。またタオルも、フィットネスなどで使用する際、すべてを広げて汗を拭くよりもおでこの大きさ位に小さく畳んだまま汗を拭く方が上品に見えます。ホテルフィットネスの上級インストラクターがタオルを拭くときには、タオルを大きく広げずタオルを使用しています。
「おしぼり」の歴史は意外に古く『古事記』『源氏物語』の時代にはすでに誕生していたと考えられています。
江戸時代に入ると手ぬぐいが普及し、宿屋で旅人の疲れを癒すために、水に浸した「おしぼり」が用意され、客をもてなしたとされています。この時の手ぬぐいを絞る行為がおしぼりの語源になったと言われています。
昔は旅人を癒すために、軒先に「おしぼり」を置き、旅人は足や手などを拭いたとも言われています。「おしぼり」はこのように掘り下げると日本古来から受け継いだ、おもてなしの精神を表す貴重な文化だと言えるでしょう。カレンダーを見てみると、10月29日(手を拭く)「おしぼりの日」に指定されています。なかなか興味深いですね。
3. スマートカジュアル
高級ホテルのレストランでは、ドレスコードを設けているところが多い。暑いからといって短パンとサンダル姿でレストランに出かけると入口で門前払いをされることもあるので、事前にそのレストランのドレスコードをチェックすることをお薦めします。
ホテルやレストランの雰囲気は、ホテルのハードやソフトだけではなく、その時と空間を共有するゲストの装いにも大きく関係しています。せっかくの素敵な時間に、その場に合わないカジュアルな服装の方と、ドレスアップされている方とが一緒にいることを想像してみましょう。一辺に店の雰囲気が変わってしまいます。
しかし最近では、会食など、レストランでスーツを着ているゲストが幹部の方だと思っていると、実は逆で、カジュアルな装いの方が幹部だったりもしますので、サービスの際、服装だけでその関係性を判断することが難しくなってきています。
ロビーにふらっと出没することで有名な世界的にも有名なIT企業の最高責任者の方はいつもTシャツとジーンズ姿で自由に行動しています。それでも、会食になると、革靴とジャケットをきちんと着用されていて、どんなに忙しくても、その場と時間にピタッと合った服で登場されます。服装選びとは、思いやりであり、そのさりげない着こなしやTPOのマナーまで素敵で、スマートだと感じます!
ドレスコード とは、服装規定(ふくそうきてい、英語: dress code)とは、社会の中のさまざまな場所と機会、また行事や催し物などの場面で当然、その場面でしかるべきとされる服装のことをいう。周囲への配慮から始まったエチケットである。行事によっては主催者側でフォーマル、インフォーマルなどと指定されることも少なくない。英語の表現をそのまま使ってドレスコードと表現されることもある。
レストランやホテル、カジノで、短パン・サンダル・ノーネクタイを禁止するのも、ドレスコードの一種。クルーズ客船の中でも、時間帯によって服装を選ぶ必要がある。また国家のレベルでは、国家元首や王・その関係者・首相・閣僚・特命全権大使・特命全権公使・軍人など、その役職や格式により、歓迎の儀礼や晩餐会などでもその都度の服装が細かく規定されており、欧米社会では「ホワイトタイ」や「ブラックタイ」などの礼式区分がある。
ホテルや高級レストランのドレスコードに関しては、予約をしたらドレスコードの確認をしておこう。ホテルでは「スマートカジュアル」としているところが多い。「スマートカジュアル」とは何だろう?
ドレスコードには、格式の高いものから順に「フォーマル(正装)」、「セミフォーマル(準正装)」、「インフォーマル(略礼服)」と呼ばれるものがあります。
「スマートカジュアル」は、その下に位置する、ある程度きちんとした服装で、カジュアル寄りにドレスダウンしたドレスコードのことです。
フォーマル (正装) | 最も格式が高く、結婚式の新郎新婦、新郎新婦の両親や仲人、公的行事や式典の主催者が着用する服装 |
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セミフォーマル(準正装) | フォーマルよりはかしこまらない、結婚式・披露宴の参列親族、パーティーの主賓などが着用する服装 |
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インフォーマル (略礼装) | ビジネスよりで正装とカジュアルの中間的な服装 |
↓ | |
スマートカジュアル | エレガントできちんと感のあるきれいめの服装 |
↓ | |
カジュアル | 軽装 |
ホテルでは、万が一に備え、スマートカジュアルに必要な緊急服のスペアーを用意している場合がある。ハプニングの際は、ホテルのスタッフに声をかけてみよう。ホテルには従業員用に沢山のユニフォームなどがあり、サイズや色も豊富なスーツなどがそろっている。ただし靴に関しては、携帯していない場合が多いので家を出る前には必ずチェックしておこう!
<スマートカジュアルの服装例>
男性の場合: ジャケット, チノパンなど
女性の場合: ワンピース、ブラウス+スカート, ジャケットなど
4. ミニマルな私物
チェックイン後の客室はゲストのご自宅と同様になる。ハウスキーパーが部屋を清掃する際に最も気を付けていること、それはゲストの私物の扱いである。プライベートを尊重し、あまり私物を動かさないように気をつけて清掃することが大切である。
滞在中よく利用されているホテルの備品、例えば、よく召し上がる緑茶、エスプレッソコーヒーやタオルなどは、常にプラスアルファで十分に補充し、滞在中には決して不自由がないように心がけておきます。
国内外からのゲストをお迎えしていて、思うのは、アジア人は(日本人も含む)非常に荷物が多いということだ。一方、欧米の方は荷物が比較的少なく合理的である。特に旅慣れた方は、持ち物に無駄がなくミニマルに納められているため、部屋もとてもすっきりとしている。
ミニマルな荷物の中にも、旅程に必要なシーンごとの持ち物は必ず用意されている。ビジネス服、水着、お出かけ服、などとメリハリがありながら無駄がない。不要なものは持ってこない徹底ぶりが素晴らしい。またクローゼットの使い方も自宅の様に女性、男性の住み分けがされている。
一方、荷物で部屋が埋め尽くされてしまうケースがある。連泊が多くなると、客室がご自宅の延長線上の様になり、普段の衣・食・住の生活スタイルが顔をのぞかせてくる。ご自宅での生活スタイルがなんとなく想像できることがある。脱ぎっぱなしや、貴重品があちらこちらに散々されている場合もある。貴重品などがなくならないように、わかりやすい場所に移すなど、工夫も必要である。
ホテルではアンパッキングとパッキングサービスというものがある。ゲストのスーツケースを荷解きし、また荷造りするお手伝いをするサービスである。無料ではないがそのようなサービスが必要な場合は前もってホテルスタッフに聞いてみよう!コツは、すぐに使うものと使わないものの分類にある。それにより次のデスティネーションに必要な荷物だけを取り出しやすくなる。
管理人は以前、イギリスの有名なロック歌手のパッキングサービスをお手伝いしたことがある。その方の衣装の畳み方が独特で非常に優れていて良い畳み方だったので、どうやってその畳み方になったかを尋ねてみると、テイラーから学んだということを教えてくれた。それ以来管理人もパッキングの際は、その特別な畳み方を取り入れている。
ゲストのお手伝いをさせて頂くうちに、パッキングの腕前も上がってきたようだ。
大分脱線してしまったが、ミニマルな持ち物で上手に旅をし、シーンにあった持ち物で滞在を演出ができる方は、旅のエクスパートと言えるだろう。その様な生活スタイルはとても素敵で、ホテルの中でも”ぐっと”光る!
5. 食事の時のマナー
ホテルのレストランを楽しむ時、テーブルマナーの作法を知っていると心配も減り、所作がスマートに見える。しかし、食事をする時に最も大切なのは、パートナーと食事の時間を楽しむことである。それには多少作法が間違っていても、ホテルのサーバーがサポートをしてくれるので安心である。
レストランの食事の際、1~5まで意識しているだけで“ぐっと”上品に見えるので、まずは実践してみましょう。
1. レストランへエスコートの際、レディファーストを心掛ける
2. おしぼりやタオルは小さく折って使用し、使用後はトレイの上に置こう
3. ドレスコードを確認し、その場の雰囲気に合った洋服で出かけよう
4. なるべくミニマルな荷物で、多ければ受付のクロークに預けておこう
5. 食事の際は、雰囲気や食事を思い切り楽しもう!次のマナー違反には注意して!
- 香水の付け過ぎ
- 食べる時の音
- 飲みすぎ
- 大声
ホテルでは日常では滅多に会わないような方も偶然隣り合わせになることがあるよ! ホテルで “なんだか素敵な人”と思える人は自分がなりたい生活スタイルの実践者かもしれんぞ!よーく観察してみるんじゃ!